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溶連菌感染症

溶連菌感染症とは

溶連菌は、溶血性連鎖球菌の「溶」「連」「菌」を取り出した略語です。
この溶連菌には多くの種類があり、A, B, C, G群などに分けられます。
新生児で髄膜炎や菌血症を起こすのがB群で、乳幼児から大人の多くで感染するのがA群溶連菌です。血清型と言って、細菌の表面の種類は100以上あります。そのため、何度も感染してしまう、症状が異なって起きてしまうことがあります。

主に咳、くしゃみなどの飛沫感染や傷などの接触感染で感染しますので、のど、中耳、副鼻腔、気管支、肺、皮膚などに感染症を起こします。感染から症状が出るまでの潜伏期間は、約2~5日と言われています。咽頭炎(溶連菌感染の病気として多くを占めている)、猩紅熱(しょうこうねつ)、蜂窩織炎(蜂巣炎)、膿痂疹(とびひ)、壊死性筋膜炎などがあり、壊死性筋膜炎は年々増えていて、溶連菌の関与で死に至ることがあることがあります。
咽頭炎は2〜5日の潜伏期期間の後、突然の発熱と喉の痛みなどの風邪のような症状から始まります。その後、舌にイチゴのようなブツブツができたり(イチゴ舌)、紅い発しんが全身に出ることもあります。インフル・コロナでもなく喉の痛みなどあり湿疹がでたりすると、溶連菌を検査するのはその為です。

溶連菌によって起こる病気

溶連菌の感染後に起こってくる病気があります。
主に、溶連菌に対する免疫反応の結果として起こっている病気で、急性糸球体腎炎、アレルギー性紫斑病(血管性紫斑病)、リウマチ熱などがあります。その他、関節炎、心炎、心臓の内部にある弁膜の炎症、皮下にしこりができる皮下結節、踊るような動作が出てくる舞踏病があります。こうした溶連菌によって起こす病気を防ぐ意味では、治療と予防が大切ですし、何より、溶連菌感染の診断が重要です。

溶連菌感染症の診断

溶連菌感染症でもっとも多い咽頭炎は、のどをぬぐった綿棒を使って、溶連菌そのものがいないかどうか検査する迅速検査で診断することが多いです。抗菌薬などが既に服用されていると迅速検査では陰性になりますので、血液検査で、溶連菌に対する免疫反応の結果として体内で作られるタンパク質であるASLOやASKを測定します。ともに高値であれば、溶連菌感染症があったことが判ります。

治療

溶連菌は細菌ですので、抗菌薬の効果があります。ペニシリン系およびセフェム系と呼ばれる抗菌薬を服用します。ペニシリン系抗菌薬の方がセフェム系抗菌薬より長めに服用します。
確実に服用することが肝心です。くまい医院では10日間服用し、糸球体腎炎の早期発見のため検尿をして尿潜血がないかを確認します。

対策

溶連菌感染症は幼児からみられる事が多く、感染経路は飛沫感染・接触感染のため感染している人は早期に診断し、早期治療が大切ですが、人に感染させないためにマスクが有効です。手洗い・うがいも有効となります。感染した人の皮膚が、他の人の傷口に接触して感染します。

溶連菌感染症対策

溶連菌感染症かなと思ったら

大人でも感染しますが、子どもの頃にかかっていれば、溶連菌感染症になることは少ないです。大人の溶連菌による咽頭炎は子どもから感染することがあるので、周りの子ども、自分の子どもの発熱した病気にかかっていないかどうか、その発熱の原因が溶連菌ではないかと知っておきましょう。

溶連菌感染症では、抗菌薬内服後24時間が経過すると、感染力がほぼなくなりますので、学校保健安全法での登校・登園基準は抗菌薬内服後24~48時間経過していることとなっています。大人でもこれに準じて、抗菌薬内服すれば、1日の休みで仕事に行くことが可能になります。溶連菌は抗菌薬という特効薬がありますので、疑われたら、医療機関に受診し、検査診断するのが望ましいと言えます。

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