ヘリコバクター・ピロリ菌
1.ピロリ菌って何?
胃には強い酸があるため、通常の菌は生息できません。 ですがヘリコバクター・ピロリは、ウレアーゼという酵素を出し、尿素をアンモニアに分解し、そのアンモニアが胃酸を中和することで酸の強い胃の中でも生息できます。
一方の端に鞭毛と呼ばれる毛が4〜8本ついていて、これを自由に動かして胃の中を活発に動き回ることができます。
2.どのように感染するの?予防方法は?
感染経路はまだはっきりとわかっていませんが、口を介した感染が大部分だと考えられています。衛生環境と密接な関係があると考えられ、上下水道が十分普及していなかった世代の人が高い感染率となっています。(40歳以上では約80%の人が感染しています)
感染経路が不確定なため、予防方法もよくわかっていませんが、環境が整った現代では、ピロリ菌の感染率は著しく低下しているため、あまり神経質になる必要はないと思われます。
3.ピロリ菌はどんな病気を引き起こすの?
ピロリ菌が感染すると、胃に炎症を起こすことが確認されていますが、ほとんどの人は症状を自覚しません。
胃・十二指腸潰瘍の患者さんは、ピロリ菌に感染していることが多く(約90%の患者さんがピロリ菌感染者)、潰瘍の発生、さらに再発や直りにくさに、ピロリ菌が関係していることがわかっています。
これまで胃・十二指腸潰瘍は再発しやすく、そのたびに治療が必要な「厄介な病気」とされてきましたが、ピロリ菌との並行研究の結果、薬でピロリ菌を除去することにより、完全ではないものの大部分に患者さんが潰瘍の再発を抑制できることがわかってきました。
※決して再発しないというわけではありませんので、医師の指示と検診が必要です。
4.ピロリ菌の除菌療法って?


胃・十二指腸潰瘍の患者さんでピロリ菌に感染している場合、ピロリ菌の除菌を行うことにより再発率が低下することはすでに前項でもご説明したとおりです。
では、どのように治療を行うのでしょうか?治療の流れは左図をご覧ください。

正しく薬を服用すれば、ピロリ菌の除菌は約90%の確立で成功します。自分の判断で服用を中止すると、除菌に失敗して、治療薬に打ち勝つほどの強いピロリ菌が体内で繁殖する恐れがあります。
5.ピロリ菌の検査って、どんなもの?
ピロリ菌の検査には、内視鏡を使う方法と内視鏡を使わない方法があります。
内視鏡を使う方法 内視鏡を使わない方法
迅速ウレアーゼ試験:ピロリ菌のもつ酵素のはたらきで作り出されるアンモニアを調べて、ピロリ菌がいるかどうかを判断します。
鏡検法:採取した組織を染色して顕微鏡で観察することにより、ピロリ菌がいるかどうかを調べます。
培養法:採取した組織を用いて培養し、ピロリ菌が増えるかどうかを調べます。

抗体測定:血液や尿を採取してピロリ菌に対する抗体の有無を調べることにより、ピロリ菌に感染しているかどうかを判定します。
尿素吸気試験:検査用のお薬を飲み、一定時間経過した後に、吐き出された息(吸気)を調べて、ピロリ菌に感染しているかどうかを判定します。

その他の検査法:便を調べてピロリ菌感染を判定する方法もあります。
ピロリ菌に関する詳しいご説明や、ご質問、除菌療法に関するご相談は、当院までお気軽にどうぞ。
院長の隈井が丁寧にお答えいたします。