特集記事

特集記事

マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマ肺炎は、細菌の一種「マイコプラズマニューモニエ」によって引き起こされます。患者の多くが子どもや若い人です。
マイコプラズマはごく一般的な細菌で、成人するまでに多くの人が感染します。自然に回復することが多いのですが、中には重症化することがあり、呼吸困難を起こして長期入院になることもあります。特に14歳以下の子どもでは注意が必要です。

感染経路

マイコプラズマ肺炎は、かぜと同じように、飛沫感染で感染します。感染力はかぜほど強くはなく、学校などで広がる可能性は高くありません。
ただ、家庭内で感染することは多く、接触する機会の多い幼い子どもと親が共に感染するケースがよくみられます。

症状

感染して2〜3週間の潜伏期間(長くて4週間に及ぶ事ある)の後、発熱・頭痛・全身のだるさなど気管支炎の症状が現れ始め、やがて頑固なせきが出るようになります。
かぜとの違いは鼻の症状が少なく、痰のない乾いた咳も特徴です。また、耳の痛みを訴えるケースもあります。マイコプラズマが耳に入ると中耳炎で耳が痛んだり、胃腸に入るとおう吐や下痢を起こすこともあります。中耳炎はかぜでも起こりますが、中耳炎に加えて長引く頑固なせきが続く場合はマイコプラズマに感染している可能性が疑われます。
初期の症状はかぜによく似ていますが、たんの出ないせきが長引くときはマイコプラズマ肺炎を疑い、早めに受診しましょう。また、すでに病院でかぜ薬などを処方されていて、一向に症状が改善しない場合は、マイコプラズマ肺炎の可能性も考えられます。

迅速診断が重要

多くの人は肺炎に至る前に回復しますが、一部の人は肺炎を起こし症状が長引いたり、重症化したりすることがあります。重症化しなくても、マイコプラズマ肺炎を起こした人はその後の肺機能が低下すると考えられています。そのため発症後は早く治療を受けることが大切です。またマイコプラズマ肺炎では、他の肺炎で使われる抗菌薬(抗生物質)が効かないため、迅速で的確な診断が重要です。
マイコプラズマ肺炎の診断では問診、視診、胸部聴診、血液検査が行われます。血液検査で白血球が増えていなく炎症反応があり、エックス線で肺に白い影が見られれば肺炎と診断されます。マイコプラズマ肺炎は多くの場合、左右両方の肺に影が写ります。ただし、それだけではマイコプラズマ肺炎かどうかは判断できません。そのため一般的には、年齢が乳幼児から比較的若い範囲である、せきが長引いている、白血球が増えていない、両方の肺に影があるといった特徴がそろっている場合にマイコプラズマ肺炎を想定して早めに治療を始めます。

治療

症状が軽く、咳だけであれば、経過観察で様子を見ます。小さな子どもの場合、周囲の大人が注意を払い「顔色」「食欲」「睡眠」「機嫌」「排尿があるか」など、普段の様子との違いを見逃さないように心がけてください。
また、咳で苦しく食事をとれないことが多いので、食欲が回復してきたら食べられるよう、食べやすいものを用意してあげることも大切です。また食事ができない場合でも、脱水症状が起こらないよう、こまめに水分補給を行いましょう。水分とともに塩分や糖分も補えるスポーツ飲料や経口補水液を用意するとよいでしょう。
マイコプラズマ肺炎には、細菌の持つ壁がなく他の肺炎に使われるペニシリン系抗菌薬は効果がありません。そのためマクロライド系抗菌薬などが用いられます。多くは2〜3日で熱が下がりますが、重症の場合は入院治療を行います。マクロライド系抗菌薬で改善しなければ、キノロン系やテトラサイクリン系(※8歳以上に限る)を使用します。呼吸困難があればステロイド薬を点滴で投与します。

予防

現在のところ有効なワクチンなどは開発されていないため、感染を高率に予防できる方法はありません。感染を予防するためには、かぜと同様、手洗いやうがいをしっかり行い、発症した人はマスクをして、せきエチケットを守ることが大切です。感染が疑われるときは、登園や登校を控えさせます。
子どもが一人でも眠れる年齢であれば、家庭内での感染を避けるために、できれば寝室は別にしましょう。

特集記事一覧