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アデノウイルス感染症

アデノウイルス感染症とはその名のとおり、アデノウイルスに感染しておこる病気のことです。
実はアデノウイルスには50種類以上の型が報告されており、その型によって発熱(高熱のことが多い)、ノドの痛みなどがでる咽頭炎や扁桃炎、眼の充血、目やになどが出る結膜炎、腹痛や下痢・嘔吐などが起こる胃腸炎など様々な症状が現れます。
中でも「プール熱」と言われる咽頭結膜熱はアデノウイルス3型・4型で発症しやすく、アデノウイルス感染症の3大症状である発熱(高熱)、咽頭痛、結膜炎すべてそろったものです。しかし、3大症状すべてそろわないことも多くあり、それらをまとめてアデノウイルス感染症といいます。
また、結膜炎のみの場合は流行性角結膜炎(はやり目)と呼ばれ、アデノウイルス8型の感染で起こりやすくなります。

アデノウィルス感染症の種類 風邪を引き起こすウイルスごとの各症状の頻度

アデノウイルス感染症の経過と治療

アデノウイルス潜伏期

アデノウイルスは感染してから約5~7日の潜伏期間をおいてから発症します。すぐには発症せず、感染の疑いのある人と接触すれば「1週間」は要注意です。アデノウイルスは非常に感染力の強いウイルスで、インフルエンザと同じぐらいの感染力とも言われています。感染経路はくしゃみなどによる飛沫感染および便などからの糞口感染がほとんどです。
特にタオルは感染源として非常に重要で感染者との共用は絶対にしない事です。プール熱という名前がついているのもプールの中でうつるというだけでなく、脱衣所でもうつりやすいということです。

アデノウイルス発病期

発熱(高熱が続きやすい)・咽頭痛などの症状があれば検査をしましょう。周りにアデノウイルス疑いの人がいるようならなおさらです。のどの突き当り(咽頭後壁)が真っ赤になっていたり、扁桃(腺)に白い膿がついていたりするようなら注意が必要です。
アデノウイルス簡易検査があり、10分ほどで診断が出来ます。インフルエンザの検査と似ていますが、アデノウイルスは鼻からではなくのどの粘膜もしくは眼(結膜)の粘膜から採取します。
もし、検査で陽性が出れば、アデノウイルス感染症ということになり、遅れて結膜炎が出てきたりもするので、基本的には咽頭結膜熱(プール熱)と同様の扱いになります。要するに、しばらくは幼稚園・保育園・学校に行けないことになります。学校保健法(第2種)上は「主要症状が消失した後、2日を経過するまで出席停止とする」となっています。アデノウイルスは対症療法しかないので、自分の免疫力でウイルスを退治する方法しかありません。
咽頭痛や発熱の多くは5日前後で回復する為、その間は最大限の免疫力を発揮できるように栄養をつけて休息をとるようにします。全身状態が悪いようであれば、鎮痛解熱剤を使用することもあります。
特に小さな子供は発熱による体液の消失と咽頭痛による水分摂取不足のために脱水状態になることがあるので、十分気をつけましょう。薬局などに売っている経口補水液でしっかりと水分の補給をすることが大切です。

アデノウイルス回復期

熱が下がっても2日間は自宅療養を推奨しますが、登園(校)許可書が必要な場合もあるので、幼稚園・保育園などに確認することが必要です。
登園(校)出来るようになっても、しばらくは便中からウイルスが排泄され続ける為、特に入浴・プールなどでは熱が下がっても2週間前後は感染する可能性があります。

子どもだけではなくて大人もかかるアデノウイルス

大人にとってアデノウイルス感染症は風邪と言われていることが多いです。大人にもうつる病気です。治療方法は子どもと同様に薬がないので自己免疫力で治すことになります。
風邪の原因になるウイルスは200種類以上とされています。アデノウイルス感染症の症状は喉が痛くなって、鼻水や鼻詰まりがあり、熱や咳を伴います。時には結膜炎も合併するウイルスです。となると風邪の症状そのものです。
感染力は強いですが、大人は子どもほどの影響がないとして、かぜの一部として扱われています。しかし、生活する上で周りの子ども(特に乳児)がいる場合は学校や幼稚園・保育園と同様に気を付ける必要があります。学校保健法が大人の世界には適応にならないため、厳密なルールでの出勤停止はありません。事業所での判断によることになります。

アデノウイルスにはアルコール消毒は効きません

ウイルスにはエンベロープと言われる膜に包まれているタイプ(エンベロープウイルス)と包まれていないタイプ(ノンエンベロープウイルス)があります。アルコール消毒はこのエンベロープを壊すことにより抗ウイルス作用を発揮します。
残念ながら、アデノウイルスはノンエンベロープウイルスであり、アルコール消毒では効果がなく、反対にインフルエンザウイルスやコロナウイルスはエンベロープウイルスなので、アルコール消毒が有効となります。
ノロウイルスはノンエンベロープウイルスに含まれます。ノンエンベロープウイルスには次亜塩素酸ナトリウムが有効です。アデノウイルスやノロウイルスが疑われた時には次亜塩素酸ナトリウムによる消毒で対応しましょう。
もちろん、こまめな手洗いはどちらのタイプのウイルスにも有効です。

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